まず押さえる要点
「昔の交通事故があるから、今の首の治療費は出ない」と言われた人にとって重要な判例です。委員会はラベルだけで切り捨てず、受理済みの心理的傷害から頸部痛、筋緊張、姿勢関連症状、頭痛へ続く因果連鎖を認め、Section 60 命令を出しました。
先に守るべき重要ポイント
- 心理的傷害が出発点でも、証拠が整えば身体症状の治療責任につながり得ます。
- 既往の交通事故や損害賠償歴は、それだけで自動的な排除理由にはなりません。
- Section 151A を持ち出されても、実際の事実関係と時系列が合っているかを丁寧に見る必要があります。
- 労働者側で重要なのは「旧傷か新傷か」の言い争いより、症状の変化と治療必要性を一本の証拠線にまとめることです。
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事案の流れ
労働者には既に受理済みの心理的傷害があり、その後に頸部痛、筋緊張、姿勢に関連する症状、頭痛について Section 60 治療を求めました。これに対し相手方は、そうした症状は過去の交通事故と既往の損害賠償に由来するもので、現行の労災制度で負担すべきではないと主張しました。
争点は単に「既往歴があるか」ではなく、現在の治療必要性がどの因果連鎖に属するのかという点でした。委員会は、本件証拠が受理済み心理的傷害に連なる後発の経路を十分に示していると判断しました。
委員会が認めた内容
委員会は、受理済み心理的傷害に続発する頸部症状を認定し、Section 60 の治療責任が成立すると判断しました。
一般的な治療費・関連費用命令に加え、460ドルの Botox を含む特定項目についても支払命令が出され、事案の複雑性を理由に費用面では 20% uplift も認められました。
なぜこの判例が実務で役立つのか
Section 60 の争いでは、保険者が「既往歴」という言葉を便利な遮断ワードとして使うことが少なくありません。過去の事故、以前の痛み、以前の賠償が見つかると、それだけで現在の治療必要性まで切り離そうとします。この判例は、委員会がそうしたラベルだけで判断するわけではなく、工傷後の変化が現在症状と治療必要性にどうつながるかを全体で見ることを示しています。
そのため、労働者側は断片的な診療記録を出すだけでは足りません。「心理的傷害の後にどんな機能変化が起きたか」「姿勢や筋緊張にどう影響したか」「どの時点で治療が必要になったか」を時系列でまとめ、Section 60 治療費ガイドや治療否認ガイドと併せて整理するのが有効です。
Section 151A が本件で決め手にならなかった理由
相手方は、過去の交通事故損害賠償がある以上、頸部関連の治療は新たに認められないと主張しました。しかし委員会は、本件ではより後の時点で形成された、受理済み心理的傷害に由来する別の因果領域があると見て、その単純な遮断論を採りませんでした。
つまり、「Section 151A はいつも使えない」という話ではありません。重要なのは、自分の事案でどの時期にどの症状が現れ、どの証拠がそのつながりを支えるのかを具体的に示すことです。
自分の治療も「昔のケガ扱い」されたら何をするか
まず、否認理由、Section 78 通知、日付、決定主体となった保険者名を必ず保存し、Section 78 通知ガイドで手続の抜けがないか確認します。次に、工傷受理、心理症状の変化、頸部症状の出現、治療実施、否認通知を並べた時系列を作成します。
さらに、主治医には単に「痛みが続く」と書いてもらうのではなく、緊張、姿勢代償、機能低下、睡眠障害、頭痛悪化などの機序を具体的に記載してもらうことが大切です。保険者がなお否認を続けるなら、早い段階でPIC 紛争手続に乗せて、費用が膨らむ前に争点を固定します。
この判例から引ける現実的な結論
過去の事故歴があるからといって、自動的に現行の労災治療制度から外されるわけではありません。結果を左右するのは、旧傷の有無よりも、より新しい工傷由来の後続経路をどれだけ具体的に示せるかです。
すでに保険者が「既往歴」や「以前賠償済み」という言い方で治療範囲を狭めているなら、まずNSW 労災補償の総合ガイドで全体像を確認し、そのうえで証拠補強、再検討要求、正式な争いのどこから入るべきか判断するのが安全です。
労災の基礎アンカーページ
NSW労災補償の総合ガイド は、週次給付・治療承認・紛争エスカレーションの土台です。まず基礎を押さえた上で、本ページの個別戦略を進めてください。
よくある質問
心理的傷害でも首や頭痛の治療費を請求できますか?
できますが、単なる自己申告だけでは足りません。主治医意見、時系列、機能変化の証拠を使って、その身体症状が受理済み心理的傷害に続発するものだと示す必要があります。
交通事故の既往歴があると Section 60 は必ず不利ですか?
必ずではありません。この判例は、既往歴があっても後発の工傷由来の因果連鎖を立証できれば治療責任が認められ得ることを示しています。
保険者に Section 151A を持ち出されたら、どこを確認すべきですか?
その主張が本当にあなたの現在症状と旧賠償事項を結びつけているのか、そして自分の証拠が別の後発因果経路を示しているのかを確認してください。抽象論ではなく、事実関係に戻ることが重要です。
この種の案件で一番ありがちな失敗は何ですか?
診療記録をバラバラに出すだけで、症状変化、治療経過、主治医意見、否認通知を一本の流れにまとめないことです。材料が散っているほど、保険者は「昔のケガです」と整理しやすくなります。
次にやること
自分の事案がこのページに近いなら、論点を正しいルートに当てはめてから、証拠補強・通知対応・無料チェックの順序を決めてください。