NSW Work Injury Claim

NSW Work Injury Claim

既往症の争点は「既往の有無」ではなく「業務でどれだけ悪化したか」です

既往症の争点は「既往の有無」ではなく「業務でどれだけ悪化したか」です

「もともとの病気」を理由にした否認へ、Section 4 の加重法理でどう反論するかを整理した実務ガイド。IME対応、証拠設計、週次給付・治療・PICまで一体で見直します。

まず押さえる要点

保険会社は退行変性や過去の症状を根拠に否認しますが、NSW法ではそれだけで終わりません。重要なのは、仕事が既往状態を実質的に悪化・加速・増悪させたか、そして受傷前後で機能がどう変わったかです。

先に守るべき重要ポイント

  • Section 4 は aggravation / acceleration / exacerbation / deterioration を injury に含めます。
  • 業務は唯一原因である必要はなく、substantial contributing factor であれば足ります。
  • 画像の「変性」所見だけでは否認の決定打になりません。機能変化、時系列、臨床記録が重要です。
  • 責任否認は週次給付、治療承認、work capacity の問題に波及しやすいため、最初から並行管理が必要です。
  • 多くの案件は IRO 支援や PIC 紛争の準備対象になります。

このページが役立つ場面

Section 4 は aggravation / acceleration / exacerbation / deterioration を injury に含めます。
業務は唯一原因である必要はなく、substantial contributing factor であれば足ります。
画像の「変性」所見だけでは否認の決定打になりません。機能変化、時系列、臨床記録が重要です。
責任否認は週次給付、治療承認、work capacity の問題に波及しやすいため、最初から並行管理が必要です。

法的整理:Section 4 の加重ルールは何を意味するか

受傷前に既往があること自体は不利確定ではありません。仕事で状態が悪化し、就労機能や治療必要性が増したなら補償対象になり得ます。

実務では「受傷前の基準状態→業務曝露または事故→受傷後の変化」を一本の証拠線で示せるかが勝負です。過去に症状があったとしても、受傷前には通常勤務ができていた事実は大きな意味を持ちます。

保険会社の典型的な4つの否認フレーム

Degeneration:画像所見を過大評価し、「変性があるから業務外」と短絡します。

Old records:古い受診歴や軽い痛みの記載を拾って、「以前から同じ状態だった」と広げます。

Natural progression:自然経過論で業務の寄与を薄めます。

IME偏重:単回評価で長期の主治医記録を上書きします。

反論は抽象論ではなく、各フレームの前提事実を崩すことが必要です。特に受傷前就労実態、受傷後の機能低下、治療必要性の増加を丁寧に対比させるのが有効です。

最初の7日で固定したいこと:受傷前後の比較を証拠化する

まず、受傷前にどの勤務、どの作業、どの持ち上げ、どの姿勢が問題なくできていたかを具体化します。

次に、事故や反復作業の時期、初診日、休業開始日、保険会社から「既往症」「退行変性」と言われた日を時系列で並べます。

最後に、主治医や専門医へ「なぜ単なる自然経過ではないのか」を正面から書いてもらいます。単に『就労困難』とだけ書かれた証明では足りないことがあります。

3ステップ実務:否認を動かす順序

Step 1:ベースライン確定。受傷前の勤務実態、症状の頻度、通院状況、業務遂行能力をそろえます。

Step 2:変化の立証。capacity 証明、専門医意見、機能制限記録、給与変化、周囲の証言で「仕事の後に何が変わったか」を示します。

Step 3:Section 78 や IME の論点へ書面反論し、必要なら liability / work capacity / PIC を並行して進めます。口頭説明待ちで止まらないことが大切です。

証拠チェックリスト:既往症だけが原因ではないと示す材料

A. 受傷前の基準状態:勤務表、職務内容、残業、受傷前の安定した診療記録、同僚や家族の観察。

B. 受傷後の変化:新しい画像や専門医報告、継続受診記録、具体的な動作制限、元の仕事ができなくなった事情。

C. 保険会社の争点資料:Section 78 通知、IME 報告、work capacity decision、治療拒否文書を番号順に整理して反論します。

D. 生活・収入への影響:週次給付の停止や減額、自費治療費、承認待ちの間に生じた不利益も残しておくと説得力が上がります。

保険会社の論点ごとの次の一手

否認の中心が「これは退行変性・既往症にすぎない」という主張なら、このページの流れに沿って受傷前後の比較と Section 4 の当てはめを固めるのが先です。

IME が主軸なら、不公正 IME 報告ガイドに沿って逐条反論を作ります。Section 78 通知が出ている、週次給付が止まっている、治療も止められているといった場合は、それぞれを別件扱いせず一つの争点連鎖として管理します。

よくある失敗:既往症争点で不利になりやすい形

痛みの主張だけで受傷前後比較がない。

画像だけを中心にして臨床・就労機能資料が薄い。

期限内の書面反論をせず、口頭連絡だけで終える。

週次給付・治療・責任争点を分断して処理してしまう。

労災の基礎アンカーページ

NSW労災補償の総合ガイド は、週次給付・治療承認・紛争エスカレーションの土台です。まず基礎を押さえた上で、本ページの個別戦略を進めてください。

よくある質問

同じ部位に既往症があっても請求できますか?

可能です。業務で実質的悪化が生じたことを立証できれば、補償対象になり得ます。

「自然経過」と言われたら何から着手すべきですか?

受傷前後の機能比較と時系列を固定し、主治・専門医意見で因果前提を崩します。

以前に同じ部位の手術歴があっても不利確定ですか?

それだけで終わりではありません。仕事の後に痛み、可動域、勤務能力、治療必要性がどう変わったかを示せば、なお争う余地があります。

画像に変性と書かれていたら不利ですか?

不利要素になり得ますが、それだけで決まりません。受傷前には普通に働けていたこと、受傷後に何が変わったか、主治医がどう説明するかが重要です。

責任否認と治療拒否、週次給付停止が同時に来たら別々に対応すべきですか?

通常は別々に切り離さず、一つのタイムラインで管理した方が安全です。資料の重なりが多く、どれか一つだけを遅らせると全体が不利になりやすいからです。

必ずPICまで行きますか?

必ずではありませんが、否認が長引く場合は早期に PIC 前提で準備した方が有利です。

次にやること

自分の事案がこのページに近いなら、論点を正しいルートに当てはめてから、証拠補強・通知対応・無料チェックの順序を決めてください。