まず押さえる要点
NSWの労災実務では、CRPSは単に痛みが強いというだけでは通りません。結果を左右するのは、診断が明確か、Budapest基準が項目ごとに記録されているか、他の説明が除外されているか、そして治療, 週次給付, WPI戦略が同時に進められているかです。保険会社は案件を一般的な慢性疼痛に言い換えがちなので、記録の質がとても重要です。
先に守るべき重要ポイント
- CRPS1型でも2型でも、一貫した医療記録が必要です。
- Budapest基準は感覚, 血管運動, 発汗/浮腫, 運動/栄養変化を順に押さえる必要があります。
- 一般的な慢性疼痛は独立評価されにくい一方、確立したCRPSは例外的に評価対象になり得ます。
- 治療争い, 就労能力争い, Section 66/WPI準備は並行させるのが実務的です。
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CRPS1型と2型の違い
CRPS1型は、受傷, 手術, 固定のあとに生じても、特定神経の明確な損傷が証明されていないタイプです。古い表現では reflex sympathetic dystrophy と呼ばれることがあります。
CRPS2型は、特定できる神経損傷が客観的に確認されているタイプで、古い表現では causalgia と呼ばれることがあります。実務では名称そのものより、神経損傷, 臨床所見, 機能低下, 経過が一つの筋として記録されているかが重要です。
なぜNSWではCRPSの立証が厳しいのか
SIRAの永久障害ガイドは、一般的な慢性疼痛そのものにはかなり慎重です。痛みは主観性が高く、他の身体評価にも日常生活への影響がすでに織り込まれているからです。
そのため、案件をCRPSとして扱うには、単なる痛みの訴えではなく、客観所見, 正式な診断基準, 安定した病態経過を示して、一般的な慢性疼痛と切り分ける必要があります。
評価前の条件を一つずつ説明
第一に、診断は通常少なくとも1年以上続いている必要があります。まだ変動する段階の痛み状態を、早すぎる時点で恒久障害として扱わないためです。第二に、診断は複数の医師により確認されていることが重要です。
第三に、病状は最大限の医学的改善, つまり今後1年で大きく変化しにくい状態にあることが求められます。第四に、他の診断の方が妥当ではないかを検討し、除外しておく必要があります。
Budapest基準を項目ごとにみる
まず元のけがに比べて不相応に強い持続痛が必要です。そのうえで、労働者の訴えとして、感覚異常, 血管運動変化, 発汗/浮腫変化, 運動または栄養性変化の各領域を押さえる必要があります。
さらに大事なのは、診察した医師がその場で対応する所見を観察し、記録していることです。つまり、本人が言っているだけでなく、診察記録に何が見えたかが残っていないと弱くなります。
労働者が実際によく気にする点
なぜ保険会社は「ただの慢性疼痛だ」と言うのか。多くは、所見の書き方が曖昧, 記録が断片的, 医師間で表現がずれているからです。
なぜWPI準備を早く始めるべきなのか。長期制限が続くと、CRPSは治療だけの問題ではなく、週次給付, Section 66, PIC戦略まで連動するからです。
労災の基礎アンカーページ
NSW労災補償の総合ガイド は、週次給付・治療承認・紛争エスカレーションの土台です。まず基礎を押さえた上で、本ページの個別戦略を進めてください。
よくある質問
CRPS1型と2型は、どちらが補償で有利ですか?
一概には言えません。2型は神経損傷の立証が加わりますが、どちらも所見記録と一貫した医療証拠が不可欠です。
Budapest基準は、痛みを訴えれば足りますか?
足りません。症状の訴えに加えて、診察時の客観的所見も記録されている必要があります。
一般的な慢性疼痛とCRPSは、なぜ扱いが違うのですか?
一般的な慢性疼痛は独立評価されにくい一方、厳格な条件を満たしたCRPSは例外として評価され得るからです。
CRPSは週次給付や一時金にも影響しますか?
はい。多くの案件で、治療, 就労能力, WPI, Section 66の争点が同時進行します。
次にやること
自分の事案がこのページに近いなら、論点を正しいルートに当てはめてから、証拠補強・通知対応・無料チェックの順序を決めてください。